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 酔ひ痴れてひとりで踊る真夜の宴夢の残骸重ねて崩す
                         (題詠2014:37 宴)

           a0782_000691.jpg

ついこの間最後まで残ったピッケルをひとに差し上げて、というより処分し兼ねていたのを無理矢理押しつけて、これで山シャツ以外の夫の山道具はなくなった。暮らしの物も越して来たときとはいくらかずつ入れ替わって縮小し、彼のものはいよいよ少なくなった。

良い季節の里山しか歩かないので、軽いストックは手放せなくてもピッケルが必要になることは金輪際ないはずだけど、昔一度だけそのピッケルを使ったことがある。連休過ぎの常念岳の下りで、雪の斜面に取りかかる前に夫はあたしの手首にそれをくくり付け、いざというときの使い方を教えてくれた。
転倒したら素早く雪面に突き刺してブレーキにする、もしそのまま滑ったら足を開いて間に雪を掻き込む、だったと思うが、山を歩くのは彼とが初めてでまだ数えるくらいのあたしにそんな高等技術が使えるわけもなく、尻餅をついた格好で手首のピッケルと繋がったままかなりの距離を滑り落ちた。怪我がなかったのは少しは身体が柔軟な頃だったのと皮下脂肪のおかげだったと思う。
それ以後は春になっても雪の残るような高い山へは行かなくなり、二本のピッケルは引っ越しを重ねてもずっとその時々の物置にしまい込まれていた。

夫の好んだ深田久弥の「山頂の憩い」を本棚から取り出してぱらぱら拾い読みしていたらピッケルの項があり、ピッケル始め山道具を大切にしないひとに苦言を呈していた。何十年も物置に放り込んでいたとは、この本の文章をたまに引用して褒めていた彼にしてはひどい仕打ちではなかろうか。もっとも世評の高い「日本百名山」は腐していたのだから根っからの深田ファンというんじゃなかったのかもしれないし、作家の方もモノにだけ拘って飾っているような輩にも疑問符をつけていたので、捨てずに物置というのはちょうど良かったのかもしれない。

まああたしは深田久弥はどれもちゃんと読んだことはないし、あたし好みの文章でもないのでちっとも気にならず、引き取ってくださった方は山の達人、良いことをしたと思っている。
本の方はまだしばらくは本棚に残しておくつもりだけど、この後再び取り出すときが来るのだろうか。

(ずっとご高齢だと思っていた深田久弥が茅ヶ岳で亡くなったときが68歳だと知ってけっこうショックだった。昔のひとって早くから老人臭かったのだなあ、最初の奥さまの文章を読んでみたいなあ、などと)
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